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「原子間力顕微鏡(AFM)」と「触針式膜厚計」の違いを調査

目次目次

原子間力顕微鏡(AFM)と触針式膜厚計の違いについてまとめています。それぞれの装置の仕組みや計測方法、メリット、観察に適したサンプル、取り扱い時の注意点などを比較しています。

触針式膜厚計の原理と仕組み

膜厚計とは、塗膜やフィルムなどの厚さを測る測定器です。塗装や薄膜、フィルムには、車のワックスコーティングや眼鏡の曇り止め、外壁の防汚コーティング、テレビや窓ガラスの反射防止コーティング、サランラップや食品包装フィルム、スマートフォンの保護フィルムなどがありますが、用途に応じて適正な厚さがあり、製品の機能性を維持したり、品質低下を防ぐためにも、膜厚測定をする必要があります。

触針式膜厚計は、サンプルを針でなぞらせ、膜があるところとないところの段差を測定することで膜の厚さを測定していきます。段差があればどの膜種の厚さ測定も可能ですが、段差がないと測定できなかったり、糊などの粘着膜の場合は測定できないこともあります。

触針圧を1mgまで制御できるため、軟らかい材料の測定も可能ですが、有機膜などの脆いサンプルについては、触針で破壊されてしまい測定ができない場合があるので注意が必要です。

原子間力顕微鏡(AFM)と触針式膜厚計は何が違う?

原子間力顕微鏡(AFM)はカンチレバーに付いた探針が試料を走査し、カンチレバーのたわみから試料の表面形状を測定。触針式膜厚計は針を試料の表面に接触させて、段差やうねりなどの表面形状を針の垂直の動きとして検出していきます。

探針を試料の表面に接触させて走査するという仕組みは同じですが、原子間力顕微鏡(AFM)の方が探針が小さく、ナノサイズの表面凹凸の測定に特化しています。

原子間力顕微鏡(AFM)の観察範囲は~30μm、触針式膜厚計の観察範囲は数mm~数cmといわれています。

当サイトでは製品開発や基礎研究、品質管理のための「原子間力顕微鏡(AFM)3選」を紹介しています。以下リンクに掲載している、各社AFMの特徴や活用事例なども、ぜひご参考ください。

原子間力顕微鏡(AFM)
<3選>紹介ページをひらく

触針式膜厚計に適したサンプルと計測方法

触針式膜厚計に適したサンプル

光を通さない金属や半導体基板、電子部品基板の膜厚・段差・形状の測定が適しています。一般的に、触針式膜厚計は、原子間力顕微鏡(AFM)と比べて測定エリアが広く、垂直測定レンジも広いため、より広範囲の測定に適しているといわれています。

触針式膜厚計の計測方法

先端が尖った針を試料の表面に接触させて、サンプルステージを直線的に移動させ、段差やうねりなどの表面形状を針の垂直の動きとして検出。針で試料をスキャンしながら、膜があるところとないところの段差を測定することで、膜の厚さを測ったり、その形状を測定していきます。

原子間力顕微鏡(AFM)と触針式膜厚計のメリットを比較

原子間力顕微鏡(AFM)

メリット 探針が試料に接触して測定するため、正確性が高いといわれています。分解能が高く、小さな物体に対しても超高倍率の三次元測定が可能です。大気中をはじめ真空中や液中でも測定できます。
得意な測定 極小な物体の観察を得意としていて、ナノスケールでの測定が可能。接触・非接触モードが選べるので、壊れやすい試料に対しても測定可能です。表面形状のほか、試料の機械特性なども解析することができます。
注意点 低倍率(広領域)や数μm以上の高低差などの大きな凹凸があるサンプルの測定には向いていません。探針が微小でデリケートなため壊れやすく、取り扱いには注意が必要です。

触針式膜厚計

メリット 針が直接試料に接触しているため、表面の凹凸や段差を確実に測定することができます。観察範囲は数mm~数cmと、原子間力顕微鏡(AFM)よりも広い範囲の測定が可能です。
得意な測定 光を通さない金属や半導体基板、電子部品基板の膜厚・段差・形状の測定が可能です。小さな針であれば試料への負荷も小さく、微小な表面の形状を高精度で測定することができます。
注意点 広範囲の測定や大きな段差の測定には向いていません。柔らかい表面やウエット表面の測定も困難です。大きい形状を測定する場合は大きい針を使用しますが、その場合、細かい形状や粗さの測定は難しくなります。

原子間力顕微鏡(AFM)も触針式膜厚計も、どちらも探針をサンプル表面に接触させて、表面形状を測定する装置です。そのため、環境などに影響されることなく、表面の凹凸や段差などを観察することができます。

観察範囲が異なるため、より小さな物体の場合は原子間力顕微鏡(AFM)、広い範囲を観察する場合は触針式膜厚計を選ぶといいでしょう。

サポートがしっかり受けられる
「原子間力顕微鏡(AFM)」3選

国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。 そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。

DriveAFM
(⽇本カンタム‧デザイン)
DriveAFM
画像引用元:日本カンタム・デザイン公式HP(https://www.qd-japan.com/products/driveafm/)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|20µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|28bit
  • 低ノイズ/低コヒーレントのSLD光源
  • ダイレクトドライブピエゾアクチュエータ(DPA)を採用
  • Wiley Analytical Science Award 2023 を受賞

「DriveAFM」の詳細と
性能を公式HPでみる

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Park NX20
(パークシステムズ)
Park NX20
画像引用元:パークシステムズ公式HP(https://www.parksystems.com/jp/products/research-afm/large-sample-afm)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|15µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|20bit
  • 3D構造における側面傾斜角度の正確な測定
  • 高分解能電気計測モードを搭載
  • 低ノイズZ検出器による正確なAFMトポグラフィー

「Park NX20」の詳細と
性能を公式HPでみる

Dimension XR
(ブルカー)
Dimension XR
画像引用元:ブルカー公式HP(https://www.bruker-nano.jp/20200312154845)
XYスキャン範囲|90µm×90µm
Zスキャン範囲|10µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|-
  • 独自のScanAsyst® 自動画像最適化技術を搭載
  • 材料・活性ナノスケールシステムの定量化が従来より簡単
  • 低ドリフトと低ノイズを提供

「Dimension XR」の詳細と
性能を公式HPでみる

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【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。

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