原子間力顕微鏡(AFM)の導入ガイド|PicoAFM » 原子間力顕微鏡(AFM)とは?

原子間力顕微鏡(AFM)とは?

目次目次

物体の表面形状を観察することができる走査型プローブ顕微鏡の一種である原子間力顕微鏡(AFM)。その原理や仕組み、メリット、観察モード、価格などについてまとめています。原子間力顕微鏡(AFM)とはどのような装置かをわかりやすく解説していきます。

原子間力顕微鏡(AFM)の価格相場

原子間力顕微鏡(AFM)は、シンプルな構造のものから、様々な機能を搭載したハイスペックなものまで、いろいろな種類があります。一般的にスペックの高いものが価格も高くなる傾向にあります。

メーカーによっては、使用目的や研究目的に応じて最適なシステム構成を提案してくれるところもあるので、気になる原子間力顕微鏡(AFM)があれば、各メーカーに問い合わせてみるといいでしょう。

原子間力顕微鏡(AFM)の原理と仕組み

原子間力顕微鏡(AFM)とは、サンプルの表面形状を観察することができる走査型プローブ顕微鏡の一種。シリコンチップ、カンチレバー、カンチレバー先端に取り付けられた探針から成るプローブによってサンプルの表面を走査し、凹凸などの表面形状を測定していきます。

原子間力顕微鏡(AFM)では、物体同士の原子間に働く引力と斥力という原子間力を利用。探針がサンプルの表面に近づいて引力を受けるとカンチレバーはサンプル側に、斥力を受けるとその反対側にたわみます。このとき、カンチレバーの背面にレーザーを当て、その反射光の位置変化によって、サンプルの表面形状を測っていきます。

豆知識1:すごい!原子間力顕微鏡(AFM)の重役「カンチレバー」

長さ100~200μmほどの薄くて柔らかい板で、その先端には目では見えないほどの微小な探針がついています。この探針が試料表面をスキャンしていくことで、その表面形状を観察することができます。

カンチレバーの背面にレーザーを照射すると、カンチレバーの上下に伴いレーザー光が反射します。この反射の変化を観測して画像に変換していくことで、試料の表面形状を得ることができます。つまり、このカンチレバーがないことには、観察が始まらないのです。

豆知識2:さすが!原子間力顕微鏡(AFM)の影武者「ピエゾ素子」

ピエゾ素子は圧電素子とも呼ばれ、圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると変形するという特定の物体がもつ圧電効果を利用した受動素子のこと。物体にかかる力や、物体自体の動きによって圧力を検知することができ、反応も速く測定可能範囲も広いことから、多岐にわたって重宝されています。電源がなくても電圧を発生させることができる上、シンプルな構造でコストも安く、丈夫で軽量化しやすいなど、メリットの多い装置です。

豆知識3:はやい!原子間力顕微鏡(AFM)の仕事人「スキャナ」

原子間力顕微鏡(AFM)のスキャナは、円筒型のピエゾ素子の側面にX・Y・Z方向用の検出電極を貼り付けたもの。カンチレバーの探針の先端と試料表面の距離を保持するために用いられています。三次元スキャナとも呼ばれ、このスキャナが三次元的に精密走査・制御することでAFMレベルでの分解が実現します。近年、原子間力顕微鏡(AFM)のイメージング速度を上げるために高速スキャナも開発されています。

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原子間力顕微鏡(AFM)のメリットと弱点

原子間力顕微鏡(AFM)は微小な探針がサンプル表面を走査するため、μmよりも小さいnmにも対応。ナノスケールの物体の表面形状を測定することができます。金属、半導体、酸化物など、幅広いサンプルの観察も可能。サンプルに合わせて測定モードを選べるので、柔らかい試料などの測定もできます。大気中、液中、真空中、低温・高温下でも観察できるなど、環境の制限もほとんどありません。

ただし、カンチレバーの探針は非常に小さくデリケートなため、取り扱いには注意が必要です。

原子間力顕微鏡(AFM)で観察できること

原子間力顕微鏡(AFM)は物体の表面構造を観察するために開発された顕微鏡であるので、様々なサンプルの表面形状の可視化に使用されます。表面構造だけでなく、加工品や成形品の仕上がり状態を見るための表面粗さの測定にも用いられています

表面構造だけでなく、硬さや弾性率、粘弾性などの機械的性質を測ることもできるので、金属の耐久性や加工性などを判断する材料にもなります。

また、原子間力顕微鏡(AFM)では、電流の抵抗値を測定することもできるので、各種製品開発にも役立ちます。

原子間力顕微鏡(AFM)の観測モードとは?

原子間力顕微鏡(AFM)では、観察・測定する試料に合わせて測定モードを選ぶことができます。試料に接触するコンタクトモードと、接触しないダイナミックモードです。

コンタクトモードは使い勝手がよく、正確性がより高くなるというメリットがありますが、試料の制限があったり、探針や試料がダメージを受ける可能性も。

ダイナミックモードは柔らかいものや吸着性のあるものにも対応でき、探針や試料へのダメージも少ないことから、最近ではコンタクトモードに代わって主流の測定方法になっています。

このほか当サイトでは、AFMが活用されている研究分野や、具体的な活用事例を取材して紹介しています。導入を検討される際は、以下のリンクもチェックしてみてください。

研究者が選ぶ、高分解能の
原子間力顕微鏡(AFM)の魅力

サポートがしっかり受けられる
「原子間力顕微鏡(AFM)」3選

国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。 そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。

DriveAFM
(⽇本カンタム‧デザイン)
DriveAFM
画像引用元:日本カンタム・デザイン公式HP(https://www.qd-japan.com/products/driveafm/)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|20µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|28bit
  • 低ノイズ/低コヒーレントのSLD光源
  • ダイレクトドライブピエゾアクチュエータ(DPA)を採用
  • Wiley Analytical Science Award 2023 を受賞

「DriveAFM」の詳細と
性能を公式HPでみる

電話で問い合わせる

Park NX20
(パークシステムズ)
Park NX20
画像引用元:パークシステムズ公式HP(https://www.parksystems.com/jp/products/research-afm/large-sample-afm)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|15µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|20bit
  • 3D構造における側面傾斜角度の正確な測定
  • 高分解能電気計測モードを搭載
  • 低ノイズZ検出器による正確なAFMトポグラフィー

「Park NX20」の詳細と
性能を公式HPでみる

Dimension XR
(ブルカー)
Dimension XR
画像引用元:ブルカー公式HP(https://www.bruker-nano.jp/20200312154845)
XYスキャン範囲|90µm×90µm
Zスキャン範囲|10µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|-
  • 独自のScanAsyst® 自動画像最適化技術を搭載
  • 材料・活性ナノスケールシステムの定量化が従来より簡単
  • 低ドリフトと低ノイズを提供

「Dimension XR」の詳細と
性能を公式HPでみる

電話で問い合わせる

【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。

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