目次目次
ナノスケールでの測定が可能な原子間力顕微鏡(AFM)は、ウイルス研究にも用いられています。こちらの記事では、AFMを活用することでどのような点について調べられるのかという点や、活用事例などをご紹介します。
原子間力顕微鏡(AFM)はウイルス研究において強力なツールのひとつとされています。ウイルスを観察する際には、AFMの高分解能イメージング技術を使用することにより、ウイルス粒子のサイズや形状、組織についても観察できるようになります。
AFMはSEM(走査型プローブ顕微鏡)とは異なり、ウイルスを自然な姿のままで観察できるメリットがあります。さらに、温度やph、薬物分子の有無といったような、異なる環境下での観察も可能です。このような特徴から、AFMは薬物や化学物質、抗体などがどのようにウイルスに影響を及ぼすのかを研究するのに適しているといえます。
金沢大学ナノ生命科学研究所では、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を使用することによって、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質の分子ナノ動態に加え、スパイクタンパク質が細胞外小胞と相互作用する瞬間のナノ動態の可視化に成功しています。
この研究によって、ACE2発現sEVsが新型コロナウイルスを中和する薬剤となる可能性がある点が明らかになりました。さらにHS-AFMは新型コロナウイルスをはじめとするさまざまなウイルスに対するアプローチの抑制効果について、直接かつリアルタイムで確認できるアプリケーションであることが示されています。
参照元:世界初!高速AFMで新型コロナウイルス スパイクタンパク質の分子ナノ動態を可視化! (https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/22158/)
金沢大学ナノ生命科学研究所では、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)の使用によって、インフルエンザHAタンパク質がエキソソームに融合する瞬間をリアルタイムで観察することに成功。HAとエキソソームとの相互作用のナノ分子動態を解明しています。
この結果から、HS-AFMイメージングは少ないサンプル量でも医療診断に使用可能であることが示されています。さらに、HS-AFMはウイルス融合タンパク質におけるナノ分子動態を解析するだけではなく、ウイルス融合タンパク質とその標的となる細胞の膜との相互作用について可視化するための実行可能なツールである点も示されています。
参照元:高速AFMを用いてインフルエンザHAタンパク質がエキソソームに融合する瞬間を直接観察することに成功!(https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/12789/)
こちらの記事でご紹介してきた通り、AFMは、ウイルス研究の分野でも活用されています。AFMを用いることによってウイルスを生理的条件のもとで観察ができるため、その構造や機能、振る舞いについて正しく理解していく上で重要なツールであるといえます。
国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。
そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。
【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。