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原子間力顕微鏡(AFM)では、真空、大気、溶液など様々な環境下において、高分子材料などの表面構造や組成、力学物性などを観察することができます。原子間力顕微鏡(AFM)で観察できることとその意義についてまとめています。
原子間力顕微鏡(AFM)は、試料の表面構造を観察する顕微鏡として開発されたこともあり、微小な物質の凹凸をナノスケールで可視化することが得意な装置です。たとえば、様々な素材や加工品、成形品の表面粗さの測定もそのひとつ。表面粗さの測定は、加工品・成形品の仕上がり状態や外観品質を管理することはもちろん、製品寿命や機械効率を管理するためにも欠かせない要素です。
表面粗さを測定することで、虹面仕上げの光沢やパッケージの気密度、シボ加工などの手触り、クラッチ・バルブなどの摩擦力、プリント基板やメッキ下地の密着性・接着性、印刷用紙の印刷品位、鏡やレンズの光学的性能などを知ることができます。
様々な物体の表面構造を観察できる原子間力顕微鏡(AFM)ですが、ナノメートルオーダーで微細化が進んでいる半導体分野においても、非破壊で微細構造を観察できる有益な方法として、基板や薄膜の表面粗さの評価などに活用されています。また、現在、日常生活のいたるところで利用され、多くの材料研究のテーマになっているポリマー分野でも、表面形態や粗さの測定などに用いられています。
原子間力顕微鏡(AFM)では、サンプルの表面構造のほか、硬さや弾性率、粘弾性などの機械的性質を測定することも可能です。
機械的性質は、金属材料の力学的な特性の総称であり、機械特性とも呼ばれるものです。機械的性質は、金属材料を使って加工をする際に重要視される性質で、外から力を加えた場合、どのような反応を示すかを数値で表します。金属の種類によって耐久性や加工性が変化するため、機械的性質は素材の強さや加工のしやすさなどの判断基準のひとつとなります。
弾性率とは、弾性体に外力を加えた際に生じる弾性変形における応力とひずみの割合のこと。つまり、その素材の剛性を表す数値であり、たわみにくさを示す指標となります。弾性率が高いほどたわみにくく硬い素材ということができます。原子間力顕微鏡(AFM)で弾性率を測定することで、その試料のたわみにくさを知ることができます。
粘弾性は、粘性と弾性を併せ持った性質のこと。粘性はいわば「粘り具合」で、粘性が高いものほど粘りっぽくなり、低いものほどさらさらとしています。 弾性は力を加えた際、その形状が戻ろうとする性質で、ある物体を押しつぶした際、元の形状に戻るものは弾性があり、戻らないものは弾性がないということができます。 粘弾性を測定することで、例えば自動車のタイヤならば、強度を保ちつつ路面の凹凸による衝撃を吸収し、自動車の作り出すエネルギーを損失せずに路面に伝える、という複雑な要求にも応えられる、最適なバランスの材料開発に役立ちます。
電流は、抵抗が大きいと流れにくく、小さいと流れやすくなります。また、物体に規定の電圧をかけたときの電流の抵抗値が小さいほど、帯電防止性が高くなり、外部からの静電気による電気破壊を防ぐことができるといわれています。原子間力顕微鏡(AFM)では、この電流の抵抗値を測定することができ、様々な製品の開発に役立てることが可能です。
このほか当サイトでは、AFMが活用されている研究分野や、具体的な活用事例を取材して紹介しています。導入を検討される際は、以下のリンクもチェックしてみてください。
物質には様々な性質があり、その性質はナノスケールの構造によって決まります。原子間力顕微鏡(AFM)を用いることで、物体の表面形状や機械的特性、伝導性など、ナノスケールの構造を直接見ることができると、その試料の物性や起こっている現象なども正確に理解することができます。正確な理解をもつことで、その物性や現象に対して精密な制御ができるようになるため、ナノスケールで微小な表面形状を三次元で可視化・数値化できる原子間力顕微鏡(AFM)は、今後ますますニーズが高まると考えられます。
国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。
そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。
【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。