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高機能化が求められる半導体。その製造プロセスにおいては、微細化、高集積化が続いており、極めて精度の高い計測が求められています。高性能な測定で半導体業界に貢献する、原子間力顕微鏡(AFM)についてまとめています。
パソコンやスマートフォン、家電製品から航空機まで、様々なものに搭載されているコンピューター。その頭脳となるLSI(半導体集積回路)は、微細化技術により高性能化してきました。一方で、微細な回路の品質を保証するためには、LSIを厳密に計測する必要があり、そのための測定道具が不可欠です。そこで、半導体メーカーでは、LSI専用の計測装置として、原子間力顕微鏡(AFM)を使って表面粗さを計測しながら生産しています。
AFMは以下のような製造工程で活用されています:
これらの工程において、AFMは各段階の品質を高精度にモニタリングするツールとして重要な役割を果たしています。
あらゆる物質の間に働く原子間力を検出し画像化できる原子間力顕微鏡(AFM)は、導電性プローブよりマイクロ波を照射し、その反射を計測することで、導電性などの電気特性を測定することもできます。また、原子間力顕微鏡(AFM)は、精度が高く、ほぼ非破壊測定であることなどから、特に微細化が進む半導体分野においては、帯電分布観察など多岐にわたる用途があり、ナノスケールの電気的な特性を評価するための強力なツールとして必要不可欠なものとなっています。
AFMが対応できる主な半導体材料とその特徴は以下の通りです。
材料 | 特徴・AFMによる評価対象 |
---|---|
シリコン(Si) | 基板としての基本材料。表面粗さやパターン形状を計測 |
低k材料 | 絶縁膜として使用。微細な膜厚変化を非破壊で測定可能 |
レジスト | 柔らかい高分子。表面の異常検知や残渣確認に活用 |
金属配線 | 導電性分布や表面状態の定量評価が可能 |
当サイトでは製品開発や基礎研究、品質管理のための「原子間力顕微鏡(AFM)3選」を紹介しています。以下リンクに掲載している、各社AFMの特徴や活用事例なども、ぜひご参考ください。
AFMが対応できる主な半導体材料とその特徴は以下の通りです。
材料 | 特徴・AFMによる評価対象 |
---|---|
シリコン(Si) | 基板としての基本材料。表面粗さやパターン形状を計測 |
低k材料 | 絶縁膜として使用。微細な膜厚変化を非破壊で測定可能 |
レジスト | 柔らかい高分子。表面の異常検知や残渣確認に活用 |
金属配線 | 導電性分布や表面状態の定量評価が可能 |
原子間力顕微鏡(AFM)は、原子一つひとつを識別できる分解能を武器に、車載用LSIのように
安全基準が極めて厳しい半導体の検査・校正を担っています。
車載電子部品はわずかな不良でも重大事故につながりかねないため、測定装置には
サブミクロンからナノメートル領域までブレのない精度が求められます。
AFMによる表面形状の高精度キャリブレーションは、既存のマイクロスケール測定技術を
補完しつつ、さらなる微細化に向けて日々進化を続けています。
年々微細化と高集積化が進む超LSIでは、ウエハ内にわずかに残る不純物(ドーパント)が
デバイス特性を大きく左右します。AFMは絶縁体を含むさまざまな表面を
原子分解能で観察できるため、こうした極微量不純物を可視化し、
その分布や結晶状態まで詳細に解析することが可能です。
ドーパントプロファイルを正確に把握できれば、製造プロセスの最適化や
歩留まり改善につながり、半導体デバイスの信頼性向上に大きく寄与します。
AFMとよく比較されるSEM(走査型電子顕微鏡)との違いを以下にまとめました。
AFM | SEM | |
---|---|---|
真空環境の有無 | 不要(常圧で使用可能) | 必要(真空チャンバー内で測定) |
非導電性材料の対応 | 可能(絶縁体でも測定可) | 難しい(前処理が必要な場合あり) |
高さ情報の取得 | 直接測定可能(Z軸の定量評価) | 表面の2D画像のみ |
空間分解能 | 数ナノメートル以下(AFMプローブ次第) | 数ナノメートル(加速電圧やレンズ性能に依存) |
観察範囲(視野) | 数μm〜数十μm(狭い) | 数μm〜数mm(広い) |
原子間力顕微鏡(AFM)と走査型電子顕微鏡(SEM)は、いずれもナノスケールの構造観察に用いられますが、測定原理と適応範囲が異なります。
SEMは電子ビームにより広範囲を素早く観察できますが、真空環境や導電コーティングが必要で、非導電性材料には制約があります。
一方AFMは、探針で表面をなぞることでサブナノメートル精度の高さ情報を取得でき、真空や導電性を問わず多様な材料に対応可能です。膜厚のばらつきや微細な粗さ、段差の定量評価に適しています。
CMP後の平坦性、エッチング後のラインエッジラフネス(LER)、電位差(KPFM)、導電性分布(C-AFM)など、物性評価にも活用できます。 そのため、半導体業界ではSEMで全体像を、AFMで局所の精密解析を行うなど、目的に応じて使い分けるのが一般的です。
AFMはSEMだけでなく、光学顕微鏡や干渉計、触針式プロファイラとも用途が異なります。特に「非破壊・非導電性材料対応・ナノレベルの形状評価」という点で、他機器とは一線を画します。
AFMはこれらの代替ではなく、より高精度・高機能な測定が求められる場面で使い分けられています。
国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。
そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。
【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。