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原子間力顕微鏡(AFM)とレーザー顕微鏡(LM)の違いについてまとめています。それぞれの装置の仕組みや計測方法、メリット、観察に適したサンプル、取り扱い時の注意点などを比較しています。
レーザー顕微鏡(LM)は、サンプルの表面にレーザーを照射して、反射したレーザーの受光量の変化から表面の形状を測定していく装置です。対物レンズの焦点位置である像位置に、「ピンホール」と呼ばれる円形の小さな穴が設置されています。対物レンズに入射する反射光には、錯乱光や意図しない反射光など、観察には適さない光が含まれていますが、ピンホールによって、こうした光が検出器に入射するのを制限します。進行経路の違う光が取り除かれるため、画像化に最適な反射光だけが検出器に入射することができます。
検出器に入射した反射光は、増幅器で増幅され、デジタルデータに変換されて三次元画像を構築。画素ごとの情報を画像処理して構築するため、微細な形状の観察や目的に応じた表示の変更、疑似断面の生成も可能です。
原子間力顕微鏡(AFM)は、観察対象物の表面または、そのごく近いところを、探針でなぞっていくことで、凹凸をはじめとする表面形状を測定していきます。観察対象物にもよりますが、探針がサンプルに直接触れたり、探針先端とサンプルの間に働く原子間力を感じて情報を得ていくため、高さの計測も得意です。μmよりも小さいnmの微小物体の観察をすることも可能です。
レーザー顕微鏡は、レーザー光を用いてサンプル表面の凹凸を非接触で検出。一辺が数十μm~1mm程度の範囲の観察が可能です。可視光の中でも波長が短く直進性が高いレーザーは、環境光の影響を受けにくく、表面反射率の低い材質や傾斜角度の大きな部分に対しても観察が可能。さらに、短い波長で直進性の高いレーザー光を照射するため、光を均一に照射する光学顕微鏡よりも散乱光の少なく、コントラストも強くなります。
当サイトでは製品開発や基礎研究、品質管理のための「原子間力顕微鏡(AFM)3選」を紹介しています。レーザー顕微鏡との違いを比較する際は、以下のリンクもご参考ください。
共焦点レーザー顕微鏡では、深さ方向に分解能が発生し、光学的断層像を観察することができます。三次元的な観察が可能になるため、高分子材料の内部構造の観察にも適しているといわれています。半導体や電子部品などの精密機器の三次元形状観察や表面形状観察をはじめ、蛍光物質で標識された細胞や生命組織の観察にも用いられます。一方で、青紫レーザー光を吸収するような黒色などのサンプルは観察が難しいといわれています。
レーザー光が走査ミラーを経由し、対物レンズを経て観察対象物に入射。観察対象物からの蛍光をピンホールへ導光し、集光点に配置されたピンホールで錯乱光を減光した後、検出器によって測定されます。
メリット | 観察対象物の特性に合わせて、接触・非接触モードが選べるので、非破壊で試料の形状や高さ、機械特性などが測定できます。大気中はもちろん、液中や真空中、高温・低温の中でも測定可能です。 |
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得意な測定 | μmよりも小さいnmに対応し、微小なサンプルの凹凸などの表面形状はもちろん、触れることで、そのサンプルの電気物性、磁気物性、摩擦・粘弾性などの機械特性を解析することもできます。 |
注意点 | 試料を走査するための、カンチレバーの先端に付いた探針は極微小なため、交換・設置の作業に手間取ったり、測定パラメーターの設定の設定などの操作が難しい場合もあります。 |
メリット | 共焦点レーザー顕微鏡は、ピンホールで余分な光を排除するため、ピンボケもしにくく、コントラストがはっきりしたクリアな画像を見ることができます。深さ方向への分解能により、光学的断層像が得られます。 |
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得意な測定 | 三次元的な観察ができるという特徴を活かし、高分子材料の内部構造や相分離構造の観察や、高分子材料と細胞の相互作用の解析・高分子材料の細胞内分布の解析などにも力を発揮しています。 |
注意点 | 共焦点顕微鏡は1点でスキャンしていくため、画像形成に時間がかかります。また、単位面積あたりの照明時間が短くなる分、高強度の光を当てるため、試料の退色や光毒性が起こりやすくなるといわれています。 |
原子間力顕微鏡(AFM)、レーザー顕微鏡(LM)ともに、物体の表面形状の測定に用いられています。
原子間力顕微鏡(AFM)は、カンチレバーの先端についた探針が物体の表面をスキャンして表面形状を測定。物体の原子間力を利用するため、硬さ、弾性性、粘弾性、伝導性などを観察することも可能です。一方、レーザー顕微鏡(LM)は、試料の表面にレーザーを照射して表面の形状を測定。コントラストの強いクリアな画像が得られ、三次元的な観察も可能です。
原子間力顕微鏡(AFM)での機能特性解析に加え、分子の光の反射・吸収マッピングによって化学組成まで同時に評価できる製品です。
原子間力顕微鏡(AFM)で測定できるサンプルさえ用意すれば、薄片化する必要がないため、この1台で簡単に計測ができます。
国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。
そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。
【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。