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原子間力顕微鏡(AFM)と白色干渉計(WLI)の違いについてまとめています。それぞれの装置の仕組みや計測方法、メリット、観察に適したサンプル、取り扱い時の注意点などを比較しています。
白色光干渉法(WLI)は、非破壊・非接触の光学技術で、表面の2Dおよび3Dモデルを生成することができ、現在、半導体製造の品質保証にも広く利用されています。
対象物の表面からある点までの光の距離に差が生じると「光の干渉」という現象が起こります。この光の干渉を利用し、対象物表面の凹凸を計測するのが光干渉計です。白色光などの光源から発した光を、光束を分割する装置を通し、一方は対象物を反射し、もう一方は参照ミラーで反射させて、それらの光の干渉の強弱から、対象物表面の凹凸の高さや深さを測定していきます。
一般的に、光源には白色光が用いられますが、場合によっては単色光が使われることもあります。光の分割には、ビームスプリッターやハーフミラーなどが使われることが多いようです。
原子間力顕微鏡(AFM)は、微細な探針で物体の表面をスキャンし、表面の凹凸を測定していきます。物体の原子間力を活用しているので、表面構造のほか、硬さや弾性、粘弾性などの機械的性質を観察することも可能です。
白色干渉計(WLI)は、光の干渉を利用して、光の波長や長さや表面形状、屈折率などを測定します。WLIは広視野・高垂直分解能・広いダイナミックレンジで、非接触の三次元観測が可能です。
当サイトでは製品開発や基礎研究、品質管理のための「原子間力顕微鏡(AFM)3選」を紹介しています。白色干渉計との違いを比較する際は、以下のリンクもご参考ください。
白色干渉計(WLI)は、半導体においては、ウエハなどの研磨面や蒸着膜表面の粗さや欠陥・異常部の観察や、加工形状観察が可能。金属においては、ボールベアリング・ボンディングなどの表面形状やギア・カッター・鋼板の傷・破断面・金型の形状、めっき表面の粗さや摩擦面の観察、ガラス・光学部品と電気部品の形状観察などに適用されています。
光源から照射された光はビームスプリッターなどで二分され、対象物と参照ミラーで反射し、それぞれ2つの光は、「干渉光」として受光素子(CCD素子)に入光します。その際、光源や参照ミラー、対物レンズ、ビームスプリッターなど、すべての光学部品が収まっている「光学ユニット」を上下に駆動すると、対象物から反射する光の光路の長さが変化。この時に得られる複数枚のコントラスト画像の上下位置を読み取ることで、対象物までの距離を測定します。
メリット | 探針でサンプルをスキャンさせて測定するため高い正確性を持ちます。接触・非接触モードを選ぶことができ、幅広い試料に対応可能。測定環境の制限が少なく、液中や真空中、低温下でも高温下でも測定できます。 |
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得意な測定 | 原子間力顕微鏡(AFM)はμmよりも小さいnmにも対応し、その観察範囲は~30μmといわれています。サンプル表面の凹凸について、ナノスケールでの測定が可能です。 |
注意点 | 低倍率や大きな凹凸のあるサンプルの測定が難しいといわれています。また、広視野から狭小領域へ視野を絞り込んでいくため、1サンプルあたりの解析時間がかかってしまうというというのも弱点です。 |
メリット | 垂直分解能が対物レンズの倍率に関わらず低倍率で高精度測定ができるため、測定スピードが速いといわれています。広視野をサブナノメートルの高さ分解能(0.1nm)で測定することができます。 |
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得意な測定 | 鏡面など、よく反射する面の測定を得意としています。50μm×70μm~5mm×7mmの広視野、0.1nmの高垂直分解能、150μm以下の広いダイナミックレンジでの、非接触三次元測定が可能です。 |
注意点 | よく反射する面でないと測定が難しく、鏡面は得意としていますが、凹凸の激しい試料や反射率の少ない試料の測定は困難なことがあります。また、振動に敏感なため、設置場所が限定されます。 |
原子間力顕微鏡(AFM)と白色干渉計(WLI)は、どちらも非破壊で、サンプルの表面形状の三次元観測ができる装置です。
原子間力顕微鏡(AFM)は、物体の原子間力を使って測定するため、表面構造のほか、硬さや弾性、粘弾性などの機械的性質も観測することが可能。測定環境の制限も少なく、大気中はもちろん、液中や真空中での測定もできます。
白色干渉計(WLI)は、光の干渉を利用し、広視野をサブナノメートルの高さ分解能で測定することが可能です。対物レンズの倍率に関わらず、低倍率で高精度測定ができるため、測定スピードも速くなります。
白色干渉計(WLI)はサンプル表面の形状や凹凸を解析する「形状解析顕微鏡」の一種です。ここでは、形状解析顕微鏡全般に後付けできる原子間力顕微鏡(AFM)を紹介いたします。
今ある形状解析顕微鏡と組み合わせることで、欠陥箇所の詳細な解析を原子間力顕微鏡(AFM)で行えます。白色干渉計(WLI)では計測できなかったナノスケール測定にも対応。
光学観察と原子間力顕微鏡(AFM)測定のスムーズな切り替えも実現しています。
国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。
そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。
【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。