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原子間力顕微鏡(AFM)の原理と仕組み

目次目次

ナノスケールのサンプルの表面形状を測定することができる原子間力顕微鏡(AFM)。環境や材料の制限が少ないので、さまざまなサンプルの観察をすることが可能です。原子間力顕微鏡(AFM)の原理と仕組みについて、わかりやすく解説していきます。

原子間力顕微鏡(AFM)の構成

原子間力顕微鏡(AFM)は、走査型プローブ顕微鏡の一種であり、サンプルの表面形状を測定し、三次元画像として記録する装置です。カンチレバーと呼ばれる微小な板バネの先端に付いた探針がサンプルの表面を走査して、その形状を調査していきます。

原子間力顕微鏡(AFM)は、物体の原子と原子の間に働く原子間力(引力と斥力)を利用。探針が試料表面に近づき、引力を受けるとカンチレバーは試料側に、斥力を受けると試料とは反対側にたわみます。試料の表面に凹凸があると、探針の原子と試料の原子の間に働く原子間力によって上下にたわむので、試料表面の形状を測定することができるという仕組みです。

その検出方法としては、カンチレバーの背面にレーザー光を照射し、反射したレーザー光をフォトダイオードで検出する「光てこ法」がおもに利用されています。

原子間力顕微鏡(AFM)の画像取得に必要なプロープとは?

プローブとは、測定や実験のためにサンプルに接触させたり挿入したりする針のことで、探針とも呼ばれます。原子間力顕微鏡(AFM)では、シリコンチップ、カンチレバー、カンチレバーの先端に取り付けられた探針を合わせてプローブと呼ぶことが多いようです。このプローブによって試料の表面をスキャンさせ、プローブとサンプルの間に生じる原子間力を感知して、凹凸などの表面形状を観察していきます。

プローブの種類は様々あり、測定モードなどによって選択すべきプローブは異なります。例えばノンコンタクトモードの場合は、より高い共振周波数で高いバネ定数のプローブの使用がおすすめです。コンタクトモードの場合は、硬いカンチレバーでは試料表面や探針にダメージを与える可能性があるため、バネ定数の低い柔らかいカンチレバーが適しています。

サンプル表面の形状を測定する“三種の神器”

カンチレバー

カンチレバーとは、先端に、目では見えないほどの探針(プローブ)がついた、長さ100~200μmほどの薄くて柔らかい板のこと。カンチレバーについた探針がサンプルの表面を走査していくことで、そのサンプルの表面形状を測定することができます。

カンチレバーの背面にはレーザーを反射する金が被覆されており、そこにレーザーを照射することでその反射方向が変化。その変異を観測して画像に変換していくのが原子間力顕微鏡(AFM)の仕組みです。そのためカンチレバーは、原子間力顕微鏡(AFM)に欠かすことはできません。

カンチレバーの仕組みや役割、原子間力顕微鏡(AFM)の動作モードとの関係について詳しく知りたい方はこちら。

ピエゾ素子

クオーツやトルマリンのように、圧力を加えると電圧が発生する「圧電効果」を利用した受動素子をピエゾ素子(圧電素子)といいます。ピエゾ素子は、ガスコンロやライターなどの点火装置、インクジェットプリンタなどに利用されています。

ピエゾ素子は、電源がなくても電圧を発生させられるため、AFMのみならず様々な用途で利用されています。電圧体を電極で挟み込むシンプルな作りなので、コストも安く簡単に製造することができるというメリットもあります。

ピエゾ素子の解説からメリットや仕組み、取り扱い時の注意点などについて詳しく知りたい方はこちら。

スキャナ

原子間力顕微鏡(AFM)で用いられるスキャナは、カンチレバーについた探針の先端とサンプル表面との距離を保持し、正確な測定を行うために必要な装置です。ピエゾスキャナ、三次元スキャナとも呼ばれ、このスキャナがあることで原子レベルの分解能が実現するといわれています。

原子間力顕微鏡(AFM)では、スキャナの駆動範囲によって観察できる範囲も変わってくるので、サンプルに合った大きさのスキャナを選ぶことが重要です。

スキャナの役割や仕組み、その分解能について詳しく知りたい方はこちら。

原子間力顕微鏡
(AFM)のメーカーで
おすすめ3選を見る

半導体も薄膜もナノスケールで測定できる理由

原子間力顕微鏡(AFM)は、物体の原子間に働く力を測定するため、μmよりも小さいnmにも対応できるたのが特徴。そのため、ナノスケールの微小なサンプルの表面形状や粗さを測定することができるのです。

比較的硬いものに対してはコンタクトモード、柔らかいものや動きやすいもの、吸着性のあるものに対しては、探針がサンプルに直接触れないノンコンタクトモード(ダイナミックモード)と、観察するサンプルに合わせて測定モードを選ぶことができます。さらに、大気中はもちろん液中でも観察できるため、環境や材料の制限が少なく、様々なサンプルの測定が可能です。

凹凸などの表面形状だけでなく、電気物性や磁気物性、摩擦・粘弾性などの解析にも対応できるのもメリットのひとつです。

このほか当サイトでは、AFMが活用されている研究分野や、具体的な活用事例を取材して紹介しています。導入を検討される際は、以下のリンクもチェックしてみてください。

研究者が選ぶ、高分解能の
原子間力顕微鏡(AFM)の魅力

サポートがしっかり受けられる
「原子間力顕微鏡(AFM)」3選

国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。 そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。

DriveAFM
(⽇本カンタム‧デザイン)
DriveAFM
画像引用元:日本カンタム・デザイン公式HP(https://www.qd-japan.com/products/driveafm/)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|20µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|28bit
  • 低ノイズ/低コヒーレントのSLD光源
  • ダイレクトドライブピエゾアクチュエータ(DPA)を採用
  • Wiley Analytical Science Award 2023 を受賞

「DriveAFM」の詳細と
性能を公式HPでみる

電話で問い合わせる

Park NX20
(パークシステムズ)
Park NX20
画像引用元:パークシステムズ公式HP(https://www.parksystems.com/jp/products/research-afm/large-sample-afm)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|15µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|20bit
  • 3D構造における側面傾斜角度の正確な測定
  • 高分解能電気計測モードを搭載
  • 低ノイズZ検出器による正確なAFMトポグラフィー

「Park NX20」の詳細と
性能を公式HPでみる

Dimension XR
(ブルカー)
Dimension XR
画像引用元:ブルカー公式HP(https://www.bruker-nano.jp/20200312154845)
XYスキャン範囲|90µm×90µm
Zスキャン範囲|10µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|-
  • 独自のScanAsyst® 自動画像最適化技術を搭載
  • 材料・活性ナノスケールシステムの定量化が従来より簡単
  • 低ドリフトと低ノイズを提供

「Dimension XR」の詳細と
性能を公式HPでみる

電話で問い合わせる

【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。

高分解能AFMを個人所有する愛好家を直撃!
高分解能「AFM」

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