バイオマテリアルは高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)によって観測されている事例が多いです。AFMは、バイオマテリアルの表面構造や機械的特性をナノスケールで非破壊的に測定できます。分子間相互作用や力学特性をリアルタイムで解析できるので、バイオマテリアル研究での活用が拡大しています。ここでは、バイオマテリアル分野での原子間力顕微鏡(AFM)活用例をまとめました。
AFMは高分解能で非破壊的な測定ができるので、生体材料の微細な特性を正確に評価できる点が大きな利点です。表面のトポグラフィーや微細構造を高精度に測定でき、組成や製造プロセスの影響を詳細に分析できます。また、in vitro試験後や体外植込み後の表面変化も評価できます。AFMの多様な測定技術により、バイオマテリアルの剛性、弾性率、エネルギー散逸などの機械的特性を局所的に測定できます。
AFMは高い空間分解能を持ち、抗体や細胞外小胞の構造や動態をナノスケールで可視化できます。特に高速AFMは、免疫応答中の分子がリアルタイムに観察できます。抗体-抗原相互作用や細胞膜の硬さ変化などを非破壊的に測定できます。さらに、溶液中で生体分子を「生きた」状態で観察できるので、自然免疫や適応免疫の詳細なメカニズム解明に役立ちます。
金沢大学ナノ生命科学研究所(NanoLSI)では、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いて溶液中の非標識タンパク質分子の動的構造変化を直接イメージングしています。これは、電子顕微鏡のように真空中で固定された状態ではなく、また蛍光顕微鏡のように標識された分子を追うのではなく、生きた状態のタンパク質をリアルタイムで観察できる画期的な技術です。
HS-AFMにより、タンパク質の構造変化や相互作用をナノスケールで詳細に解析でき、従来の顕微鏡では捉えられなかった生命現象の解明に貢献しています。NanoLSIでは、HS-AFMの観察速度をさらに向上させ、より高速なタンパク質動態の可視化を目指しています。この技術は、「ナノプローブ生命科学」という新たな研究分野を開拓し、生命科学研究に革新をもたらすことが期待されています。
参照元:金沢大学拠点構想の概要( https://www.jsps.go.jp/file/storage/j-toplevel/05_kousoh/2-11NanoLSI.pdf )
液中周波数変調AFM(FM-AFM)を用いて生細胞表面や内部の構造、動態、化学的・機械的物性分布のイメージングを行っています。従来の顕微鏡では困難だった生細胞のナノスケールでの詳細な観察を可能にした技術です。
FM-AFMを用いることで、細胞膜やタンパク質などの微細構造を溶液中で高分解能に観察できます。また、細胞表面や分子近傍に存在する水和層や溶媒構造を三次元的に可視化し、生体分子の安定性や機能に関与する水和構造を明らかできます。
NanoLSIでは、FM-AFM技術をさらに発展させ、細胞内イメージングや分子スケール細胞表面観察、物質・物性分布計測など、新たなナノプローブ技術の開発を進めています。これらの技術を通じて、細胞の基本機能や、がん特異的な異常性をナノスケールで理解することを目指しています。
参照元:金沢大学拠点構想の概要( https://www.jsps.go.jp/file/storage/j-toplevel/05_kousoh/2-11NanoLSI.pdf )
原子間力顕微鏡(AFM)は、バイオマテリアルの表面構造や機械的特性をナノスケールで非破壊的に測定できるので、ナノスケールでの生命現象の理解を深めるために活用されています。特に高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)が活用されている分野です。
国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。
そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。
【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。