原子間力顕微鏡(AFM)の導入ガイド|PicoAFM » 原子間力顕微鏡(AFM)とは? » 原子間力顕微鏡(AFM)で観察できること » AFMによる表面粗さ測定とは?原理や特徴、他顕微鏡との違いを解説

AFMによる表面粗さ測定とは?原理や特徴、他顕微鏡との違いを解説

AFMによる表面粗さ測定とは?原理や特徴、他顕微鏡との違いを解説

AFM(原子間力顕微鏡)の測定原理と仕組み

AFM(Atomic Force Microscope)は、鋭利な探針を試料表面に近づけ、探針と試料の間に働く原子間力を検出することで、ナノスケールの凹凸を三次元的に測定する装置です。探針は柔軟なカンチレバーの先端にあり、試料との相互作用力によりカンチレバーが微細にたわみます。このたわみをレーザー光で検出し、フォトダイオードを通じて信号に変換することで、高精度な表面情報を得ます。

AFMが表面粗さ測定に適している理由

AFMと他の顕微鏡(SEM・OM)の比較

特性 AFM SEM OM
試料の導電性 不要 必要 不要
試料前処理 不要 金属コーティング 通常不要
観察環境 大気中・液中可能 真空下 大気中
表面高さ情報 定量的に取得可能 定性的のみ 定性的のみ

AFMによる表面粗さ測定のメリットと注意点

高い測定精度と再現性

AFMは垂直方向の分解能が0.1nm未満という極めて高い精度で微細構造を測定できます。また、同一試料を繰り返し測定した際にも高い再現性を発揮します。特にタッピングモードを使うことで試料へのダメージを最小限に抑えつつ、精密なデータを取得可能です。

AFM測定可能な試料一覧

AFM測定の注意点と課題

AFM装置を選ぶ際のポイント

測定モードの選択基準

AFM装置の選定ポイント

項目 確認内容
分解能 垂直・水平方向の精度
測定範囲 試料サイズや測定対象エリア
ステージの柔軟性 試料サイズ・形状への対応
ソフトウェア 操作性や解析能力
環境対応 液中や特定環境下での測定可否

サポート体制とアプリケーションノートの重要性

装置選定時には、メーカーの技術サポート体制や、測定事例を豊富に掲載したアプリケーションノートの充実度が重要です。特に導入後のトラブル対応や定期的なメンテナンス支援を受けられるかを確認しましょう。

測定用途別
おすすめの原子間力顕微鏡(AFM)3選

原子間力顕微鏡(AFM)を用いれば、半導体製品などのナノ材料を高精度で、かつ壊さずに測定することが可能です。
液中や大気中などさまざまな環境で測定したい場合や、製造過程での故障原因を突き止めたい場合など、使用目的は多岐にわたるでしょう。
ここでは、測定用途別におすすめの原子間力顕微鏡(AFM)を紹介します。

半導体製品の
液中測定
したいなら

DriveAFM
(⽇本カンタム‧デザイン)

DriveAFM
画像引用元:日本カンタム・デザイン公式HP(https://www.qd-japan.com/products/driveafm/)
  • カンチレバービームのみが励起されるため、液体環境を大きく乱す水分子の影響を受けずに、約3時間安定した測定が可能。
  • 超低ノイズを実現し、液中でも高い励起帯域幅での安定した測定を叶える。

DriveAFMの特徴と
その他のAFMも見てみる

DriveAFMの性能を
公式HPで詳しく見る

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半導体製品の
故障解析
したいなら

Park NX20
(パークシステムズ)

Park NX20
画像引用元:パークシステムズ公式HP(https://www.parksystems.com/jp/products/research-afm/large-sample-afm)
  • 狭い範囲の測定を得意とするAFMと違い、広いエリアを解析できるので少ない回数で故障の原因を突き止めやすい
  • ノンコンタクト™モードではチップが鋭いまま保たれ、必要以上にサンプルと接触しないので、故障部分を破壊せずに原因を特定できる。

Park NX20の特徴と
その他のAFMも見てみる

Park NX20の性能を
公式HPで詳しく見る

化学組成など
内部構造まで解析
したいなら

Innova-IRIS
(ブルカー)

Innova-IRIS
画像引用元:ブルカー公式HP(https://www.bruker.com/ja/products-and-solutions/microscopes/materials-afm/innova-iris-afm.html)
  • ラマン分光システムを搭載したAFM。AFMで表面解析・ラマン分光で内部解析を行える。
  • サンプルの化学組成など内部構造の評価が可能
  • サンプルを傷つけず、かつ長時間の測定でも位置がずれないよう維持してくれる設計。

Innova-IRISの特徴と
その他のAFMも見てみる

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AFMで表面粗さを測るなら、まずは装置選びから

自社サンプルに最適な装置を見極めるには?

自社サンプルに最適なAFM装置を選ぶためには、まずサンプルの材質や表面特性、測定の目的(精度重視か高速測定か)、および測定環境(大気中、真空、液中)を明確にする必要があります。具体的には、次のようなポイントを整理しておきましょう。

これらの要件を整理したうえで、装置メーカーに具体的な条件を伝え、対応可能なモデルを絞り込んでいくことが重要です。

各メーカーのデモやサポートを活用しよう

AFM装置は高価で専門的な技術が必要なため、導入前には必ず各メーカーのデモンストレーションや技術サポートを積極的に活用しましょう。実際のサンプルを用いたデモ測定を通じて、

を実際に確認できます。また、サポート体制(トレーニングやアフターサポートの内容)を確認することで、装置導入後のトラブル対応や運用方法についても安心できます。

まとめ

AFMは表面粗さ測定において、非破壊でナノスケールの高精度な測定が可能な有力なツールです。しかし、最適な結果を得るためには、目的に合った装置選びが非常に重要です。装置導入前に、自社サンプルの特性や測定条件を明確にし、メーカーのデモやサポートを活用して適切なAFM装置を選定しましょう。適切な準備と確認により、導入後の効率的で正確な測定が可能になります。

ピックアップ関連記事

サポートがしっかり受けられる
「原子間力顕微鏡(AFM)」3選

国際的に認知され、世界中の研究施設や企業で広く使用されている原子間力顕微鏡(AFM)は、高品質で信頼性が高い証明となります。 そのため、海外拠点を多数持ち、手厚いメンテナンスやサポート体制をもつメーカーを選ぶことは重要です。
ここでは海外拠点が多く、公式HPにサービスやサポートについて記載されているメーカーの原子間力顕微鏡(AFM)をセレクト。次の3製品を、導入のご参考にチェックしてみてください。

DriveAFM
(⽇本カンタム‧デザイン)
DriveAFM
画像引用元:日本カンタム・デザイン公式HP(https://www.qd-japan.com/products/driveafm/)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|20µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|28bit
  • 低ノイズ/低コヒーレントのSLD光源
  • ダイレクトドライブピエゾアクチュエータ(DPA)を採用
  • Wiley Analytical Science Award 2023 を受賞

「DriveAFM」の詳細と
性能を公式HPでみる

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Park NX20
(パークシステムズ)
Park NX20
画像引用元:パークシステムズ公式HP(https://www.parksystems.com/jp/products/research-afm/large-sample-afm)
XYスキャン範囲|100µm×100µm
Zスキャン範囲|15µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|20bit
  • 3D構造における側面傾斜角度の正確な測定
  • 高分解能電気計測モードを搭載
  • 低ノイズZ検出器による正確なAFMトポグラフィー

「Park NX20」の詳細と
性能を公式HPでみる

Dimension XR
(ブルカー)
Dimension XR
画像引用元:ブルカー公式HP(https://www.bruker-nano.jp/20200312154845)
XYスキャン範囲|90µm×90µm
Zスキャン範囲|10µm
Zノイズレベル|30pm(0.03nm)
コントローラー性能(DAC)|-
  • 独自のScanAsyst® 自動画像最適化技術を搭載
  • 材料・活性ナノスケールシステムの定量化が従来より簡単
  • 低ドリフトと低ノイズを提供

「Dimension XR」の詳細と
性能を公式HPでみる

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【選定基準】
2023年10月20日時点、Google検索で「原子間力顕微鏡 メーカー」で検索結果100位までに表示された会社と、「AFM メーカー」で検索結果100位までに表示された会社、合計22社を調査。その中から、原子間力顕微鏡(AFM)の取り扱いがあり、サービスやサポートについて公式HPに明記しており、海外拠点数が多い大手グローバル企業3社をピックアップ。

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